Home » Fishing Report » 2009 / 岩魚釣行 » 2009.05.03
「今度、泊まりで来たとき、熊を食わせてやる」
「その時、お前らが釣った岩魚の刺身も食えるようにしてやる」
いつもお世話になっているマタギの親父さん。
我々が息を切らせてヘトヘトになりながら登る崖を、
平然な顔をしてトントンと跳ねるように駆け登っていく。
しかも、30キロ近い荷物を背負って。
70歳を越えているのに...。
という訳で、今回は親父さんに民宿を予約してもらい、連続釣行することに。
行きの車中、KONNOさんが敢行した4月27・28・29日の3日連続釣行の状況を聞くと・・・
「ダメ」....の一言。
『え?...じゃぁ、2日目は?』
「いや、3日連続ノーヒット。」
3日連続坊主...ということは、現在かなり状況が良くないということか。
これは状況が良くなっていることを願うしかない。
なんせ、晩飯がかかってますから。
すでに頭の中には、大きな皿に乗った「美味しそうな岩魚の刺身」が踊ってますから。
◆2009.05.03(日)05:30-17:00
午前5時30分、出船。
朝から気温は高めで、寒さは感じない。
前回と比べると、水色は良い感じに戻っている。
しかし、風は全くない・・・完全無風状態。
今日は何としても、どちらかが50cmUPの岩魚を釣らなければいけない。
晩飯ですから。
邪念【じゃねん】
1:よこしまな考え。純粋でない気持ち。
2:心の迷いから来る妄想。雑念。
釣り人にとっての一番の敵とは・・・
釣りをするには厳しい天候.....ではなく、
釣り場を荒らす人的プレッシャー.....でもなく、
この「邪念」である。
朝、二手に別れた直後、KONNOさんのLKJ-130Fに50UPの岩魚がヒット!
しかし、秒速バラシ。
さ、刺身が・・・
まぁ、時間はまだまだタップリとある。
反応があっただけ、このあとに期待がもてる...というもの。
・・・
二人とも全く反応が無いまま・・・
ただ、時間だけが過ぎていく。
そして・・・
あっという間に、夕方になってしまった。
すると、私のLKJ-130Fに岩魚が激しくチェイス。
ギリギリ刺身サイズか?
いや、この際、塩焼きでも良い!
そんな「邪念の塊」と化した釣り人に、この魚が捕れるはずは無かった。
そろそろ撤収の時間が迫っている。
頭の中に鮮明に映しだされていた「岩魚の刺身」が、段々と薄れていく。
ゴンっ!
突然、深場から姿を現したサクラマスが私のLKJ-130銀箔に喰いついた!
KONNO:「晩飯だ~!」
HATTORI:「サクラの刺身でも良い!」
しかし、そんな「邪念の塊」と化した釣り人に、この魚が捕れるはずは無かった。
目の前でフックを外し、物凄いスピードで深場へと消えていくサクラマス。
そして、邪念の塊と化した2人の釣り人の絶叫が・・・
虚しく木霊する。
まぁ、刺身はお預けになってしまったが、今日のメインの「月の輪熊」がある。
で、早速ツキノワグマを食べてみると・・・
これが、予想以上に美味い!
熊肉は臭いがきつそうで、肉は固そう....という勝手なイメージがあったが、実際はトロけるように柔らかく、臭みもまったく無い。
例えるのは難しいが、高級なビーフシチューに入っている「牛肉」と、美味しい豚汁に入っている脂の乗った「豚肉」の中間...みたいな感じ。
想像できます?
できませんよね、こんな説明じゃ...。
◆2009.05.04(月)05:30-17:00
さてさて、2日目。
壁を這い回るカメムシと格闘しながらも、あっという間に眠りについただけあって、思ったよりも身体はダルくない。
今日も二手に分かれて違う場所を探っていくが、午前中は二人とも全く反応無し。
この厳しい状況の要因の一つが何となく分かってきたが、まだ書く段階ではないと思うので省略。
暑くもなく寒くもない良い感じの気候に、私は昼寝モード。
一方、KONNOさんは・・・
ロッドと食料を持って、山の彼方へと消えていった。
何処へ向かったのかは容易に想像できるが、そこまでの距離と急斜面、そして行く手を塞ぐ雪のことを考えると、軟弱者のワタクシには真似できない。
奴はこのまま白い扉を開けてしまうのか?
その気合いには脱帽である。
2時間ほどで目を覚ましたが、まだKONNOさんは帰ってきていないようだ。
先日買った防水デジカメに水中撮影モードがあったので、試しに水中を撮影してみた。
思ったよりは、綺麗に撮れるようだ。
まだ帰ってきそうにないので、キャスト再開。
暫くすると、大岩の影で岩魚がヒット。
しかし、箱根の茶鱒のようにウネられて・・・バラシ。
その後、別の場所で2回ほどチェイスがあったが、いずれも40cm台のチビ岩魚だった。
3時間以上経って、ようやくKONNOさんが戻ってきた。
遠目に見る限りでは、手に何かを持っている感じである。
尋常ではない気力で釣ってきたのは、48cmの岩魚。
1投目で岩魚がヒットしたがバラシてしまい、その後すぐにこの岩魚が食ってきたらしい。
「途中で崖から落ちそうになってさ~...笑」
「そのあと、滑り落ちてさぁ~、なんとか這い上がって...笑」
「ロッド、折れたかと思ったよ~、あぶねえ、あぶねえ!」
「いや~、疲れたよ。」
当たり前じゃ!(笑)
そして、時間になったところで納竿・撤収。
岩魚の刺身は、オアズケ。
5月5日の早朝、現実世界の東京に到着。
そしてネットのニュースで初めて、忌野清志郎さんが亡くなったことを知る。
暫し、呆然。
RC SUCCESSIONは中学生の頃からライブに通っていた一番好きなバンドなだけに、何とも言えない複雑な気持ちである。
悲しい...とも微妙に違う、残念...とも微妙に違う。
何か一つの時代が終わったような、そんな何とも言えない不思議な感情が沸き起こってくる。
今は何も言葉が見つからない。
何処を探しても、ナイ。