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今年も7月がやってきた。
1年間待ち続けた、この7月という特別な月。
年に一度だけ・・・
この7月前半のある一日だけ、狙うことを許された・・・
いや、自ら狙うことを許したターゲットがいる。
そのターゲットとは・・・
単にエイを捕るだけだったら、他に良い場所が沢山ある。
しかし、「あの場所」で捕らなければ意味がないのだ。
干潟やゴロタ場、単なるサーフでエイを捕るのはそれほど難しくはない。
勿論、かなり疲れるが。
しかし、そんなものは「あの場所」の比ではない。
打ち寄せる波・・・
その後に襲いかかる強烈な引き波。
更に、その水の動きを複雑にする1本の流れ込み。
そして、なんとか足下まで寄せた後に待っている2mリフト・・・
そう、ここは水面から足場まで2メートル近い高さがあるのだ。
ここで奴を揚げたい!
チャンスは1年に1回だけ・・・それも7月の前半のみ。
勿論、春でも秋でもチャンスはある。
しかし、年に何度も通って捕ったとしても・・・
そこには何の意味も存在しない。
1年に1度だけ!と決め・・・
その日に本気でエイのみを狙う・・・
そこに全てがあるのだ。
遊び心を忘れた大人達へ
房総重量級Aツアー
この「房総重量級Aツアー」も今年で3年目になる。
ちなみに、過去2年間の結果は・・・
◆2000年7月1日 「第一回 房総重量級Aツアー」
実際のところ、この時はシーバスを狙っていたのだが・・・
二人で3キャスト、3バイト、2ヒット.....という超高活性なエイの群れに遭遇。
しかし、引き波に乗ってガンガン泳ぐ重量級Aの前に・・・
非力なタックルでは全く成す術がなかった。
「パーン!」・・・という音と共に、2ピースのロッドが3ピースに。
惨敗。
◆2001年7月7日
「第二回 房総重量級Aツアー」
前回の反省点を踏まえて挑んだ「第二回」。
昨年よりも波が高く、大荒れの海面。
私はシイラロッドを持ち込んだが・・・
強風の中、ルアーがポイントまで届かず・・・
という、初歩的なミスにより・・・惨敗。
アホである。
しかし、そんな中・・・
頭から大波を被りながらもキャストを続けるTAKASHIMA氏。
そして遂にTAKASHIMA氏のツルミノーにヒット。
数十分間のやり取りの末、なんとか足下まで寄せ・・・
ランディングネットに入った!...と思った瞬間・・・
強烈な大波が我々に襲いかかり・・・
一瞬のうちに、今までの我々の時間の全てを消し去っていった。
惜敗。
そして、2002年7月13日
再び「重量級A」への挑戦が始まる。
この2回連続の敗北・・・
しかし、ここで引き下がるわけにはいかない。
我々は、この2年間・・・
日々、奴らの捕食パターンと行動分析、生態研究を重ね・・・
そして、今までの「Aツアー」での経験や普段の釣行から得たデータを蓄積し、今回の挑戦に備えてきた。
~ きっと役立つ!エイ釣り講座 Ver.3.0 ~
エイを「スレ」ではなく、狙ってルアーを喰わせる為の条件とは?
先ず大前提として、エイはある時期になると完全にルアーを「捕食」しにくる...という事実を信じること。
秋などに掛かってしまうエイ達は大概スレ掛かりが多いのだが、この時期のこの場所のエイ達は、今のところ100%口にフッキングしている。
果たして、これは何を意味しているのだろうか?
普段以上に栄養分を必要としている?・・・もしかすると、産卵前の荒喰いなのか?
それとも、日常的な捕食行動なのだろうか?
その点については、現時点では分からない。
とにかく「エイはルアーを喰ってくる」ということを信じることが重要である。
信じられないことに集中するのは不可能である。
エイにも「時合」があるのか?
我々の研究データからみると、エイにも「時合」というものが確実に存在する。
これは生物全般に言えることだと思うが、前回、前々回のタイドグラフ、またMoon PhasesやJulianには様々な情報が隠されている。
詳細はまだ発表段階ではないので明記しないが、明らかに時合は存在すると思われる。
勿論、この場所では潮位も重要な要素となってくる。
これはエイが捕食のためにステイする場所に関係があると思われる。
後で述べるエイの捕食方法から考えると、捕食モードに入っているエイにとっては、最低でも50~60cmくらいの水深が必要になるのではないだろうか。
そう考えると、捕食モードに入っているエイはブレイクライン近辺にステイするのでは?...と考えるのが妥当な気がする。
エイが接岸する要素とは?
この場所にエイの群れが接岸するには、雨が重要な要素となっていると思われる。
前々回の釣行前日には雨が降っていた。
この雨により、流れ込みの水量が増していたのは言うまでもない。
そして、3キャスト3バイト...という大規模な群れと遭遇することができた。
逆に前回の釣行前日は雨が降っていない。
そしてヒットしたエイは居着き?と思われる1匹のみ。
まぁ、これは流れ込みの食物連鎖を考えれば当然の事かもしれない。
エイの捕食方法は、どういうスタイルなのか?
これはエイの形状や目の位置、口の位置、そしてバイトしてきた時のラインから伝わる情報や、実際にフッキングした位置を組み合わせて考えると「押さえ込み型」ではないかと思われる。
要するに中層を泳ぐルアーに後方下から接近し、ルアーの上、若しくは横から覆い被さるようにして捕らえ、海底に抑え込む感じである。
また、伸ばされたフックの位置から考えると、中層を泳ぐルアーに下から身をよじるようにして絡みつき、海底に抑え込む...という場合もあるかもしれない。
実際のエイのバイトはどのような感じなのか?
経験したことのあるバイトを簡単に説明すると、フィンで横から扇がれたようにルアーが横にユラっと揺れる感じである。
ただ、この場所は波と流れ込みによって常にラインが揺れ、おまけにゴミや海藻などもラインに当たってくるので、初めは判別が難しい。
しかし、ゴミや海藻が当たった時はラインの途中から衝撃がくるので、ルアーの動き・振動に集中していれば意外と簡単に判別する事が出来る。
また、波によってルアーが揺れたのかどうかは、波の周期を感じていれば判別する事が出来るだろう。
もし、波の周期と同調しない「ユラっ」を感じたら・・・それはエイのバイトである可能性が高いかもしれない。
エイにルアーを喰わせるために有効なアクションと、アワセのタイミングは?
今のところ、ルアーが泳ぐ最低限のスピードが有効な気がする。
要するに「瀕死の小魚」のイメージである。
そして、上記のような「ユラっ」を感じたら、ちょっと抜いてみる。
もしその後に重みを感じなかったら、再び同じコースにルアーを通し、「ユラっ」を感じた近辺で同じようにちょっと抜いてみる。
そこで「ぐうぅ...」という重みを感じたら、リールを巻かずに少し送って数秒待つ。
その後ロッドをゆっくりと持ち上げ、エイの重みを感じながら、「ピシャッ!」っとアワセずに「ぐぅ~いっ!」とアワセる。
もしそれがエイだったら、「ビイィィィィィィ!」という強烈なドラグ音と共に、重厚で強烈な衝撃が貴方の全身を襲うだろう。
エイとのやり取りでの注意点は?
とにかく強引に寄せないことが重要である。
強引に寄せると、フックが伸びてしまったり、身切れしてしまったりする可能性が高い。
走っている時には、ある程度のテンションをかけ、動きが止まったら寄せに入る。
大きさにもよるが、かなり重いので、無理をするとロッドが折れることもある。
そして、エイ特有の「張り付き」がある。
これは海底にベッタリと張り付いてしまい、全く動かなくなってしまう状態である。
この場合は無理に浮かそうとせずに、波を利用すると上手く浮くことが多い。
この時、強引にやらずに、波に合わせて静かに5cmほどエイを浮かせる感じでやると、意外と素直に浮くことが多い.....ような気がする。
まぁ、大きさにもよるが、走って、寄せての繰り返し・・・最低でも15分以上はかかるので、手首を労りながら慎重にやり取りする事をお勧めする。
この場所でのランディングは?
一番緊張するのが、最終段階のランディングであることは言うまでもないだろう。
とにかくこの場所は足場が高い。
干潟やゴロタ等なら、後ろに徐々に下がりながらズリ揚げてしまえば良いのだが、ここではそれが出来ない。
では、どうすれば良いのか?
それが分かっていたら3年間も苦労はしていない。
とまぁ、これからエイ釣りを始める方のために、勝手な思い込みを簡単に書き連ねてみた。
少しでも貴殿のエイ・ライフのお役に立てれば幸いである。
え?....そんなやつはいない?
◆2002年6月某日
携帯にTAKASHIMA氏から連絡が入る。
『もしもし、HATTORIさん、今年もそろそろアノ時期ですね。』
「そうだね。今年は何日にしようか?」
『一昨年と昨年のデータから考えると、7/13あたりが狙い目ですね。』
「了解、7/13にしよう。前日に雨が降ってくれるといいね。」
◆2002年6月29日
「エイで使うロッドが無い!」
ふと、肝心な事に気が付く。
シーバスで使用しているSGP86Lは一昨年の二の舞になってしまう。
トラウト用の76MLは万が一折ってしまった時、洒落にならない。
急遽、ネットで色々なロッドを調べてみる。
miniに積むから、6.6fくらいの、できればワンピースロッド。
先端ガイドの径が大きく、ミディアムクラスが良い。
しかもあまり高くないロッド。
折れても構わないロッド。
手頃な値段で、それなりの性能。
色々とネットで調べていると・・・
RYOBIのエンターソルトあたりが手頃かな?
RYOBI?
ということは・・・上○屋だっけ?
上○屋に買い物に行くのは何年ぶりだろう?
そういえば、中学生の頃は釣具といえばダイクマか上○屋だった気がする。
◆2002年6月30日
取り敢えず、ロッドを見に上○屋錦糸町店に行ってみる。
店内に入り、ロッドを見ていると、店員が声をかけてきた。
『ロッドをお探しですか?』
「ええ。」
『どのようなロッドをお探しですか?』
「折れても構わないロッド。」
『えっ?・・・折れても.....構わないロッド....ですか???』
愛想の良さそうな店員の顔が一瞬曇ったように見える。
うっ、まずい・・・これではただの嫌な客ではないか。
そこで、こちらも相手と同じような営業スマイルで優しく返答する。
「ええ、折れても構わないロッドを探してるんですよ。」
『あ、あのう・・・何を釣るんですか?』
「エイです。」
『エ...イ.....ですか?...エイ...ですと・・・』
店員は並べてあるロッドを見回したが、すぐに困惑した表情で・・・
『すいません、エイを狙うというお客様は初めてですので・・・どのようなロッドが良いのか・・・』
店員は困った様子だったが、逆に私は内心ホッとしていた。
もし店員が『あ~あ、エイならこれですよ!』などと吐かそうものなら、すぐに店を出ていただろう。
「すいませんねぇ。くだらない客の相手させちゃって。」
『いえいえ、とんでもないです。え~、これなんかは・・・』
「ちょっと固すぎるなぁ...。ルアーが飛ばないと思う。」
『では・・・これなんかは如何でしょうか?』
「これ、ジギングロッドでしょ?これは使えないよ。(笑)」
「やっぱりこれかなぁ・・・微妙だなぁ。これのMはないんですか?」
『ええ、入荷待ちの状態なんです。』
店員も私が冷やかし客では無いと思ったのか?...色々と話しかけてくる。
『あの・・・エイにはどのようなルアーを使用されるんですか?』
「サラナの125とか。」
『エイって、狙って釣れるものなんですか?』
「釣れますよ。」
『シーバス狙ってて外道で掛かったことありますけど、エイって引きますよね~!』
「引きますよ、下手するとロッド折れますから。」
店員の話に答えつつ、68MLをヒュンヒュン振ったり、曲げたりして感触を確かめる。
これでなんとかいけるかなぁ?
「とりあえず今回はこれでやってみるか...。これください。」
という訳で・・・
【ボートからのライトタックルゲーム専用設計】と謳っている
【EnterSalt XSR-J 68ML】を購入。
え?・・・ライトタックルゲーム専用?
◆2002年7月13日
第三回 房総重量級Aツアー当日。
ラインも新品に巻き直し、リーダーシステムも完ぺきに組み・・・
タックルの準備は完了。
しかし、人数が足りない・・・
二人ではランディング時にかなり厳しい。
そのことは昨年の「Aツアー」で痛感させられた。
照明係、タモ入れ係・・・最低でも三人は必要である。
そんな時、「OBATA氏、本日出撃予定」...との情報を得る。
勿論、迷わず電話。
「ご無沙汰です。今日、××に出撃するんですか?」
『うん、するよ。』
「××に出撃したいんですか?」
『え?...な、なんで?...???』
「房総にエイ釣りに行きません?」
『エイ?・・・本気で言ってるの?』
「本気ですよ、もちろん。」
『・・・』
「行きましょ!」
『・・・行く。他にも声かけて良いの?』
「勿論、OKですよ。」
15時半・・・携帯が鳴り響く。
電話の主は「CHIBA隊長」であった。
『もしもし、HATTORIさん?今日、房総行くの?』
「行きますよ!」
『俺も行く。』
「あっ、でも今日はシーバス狙いませんよ。」
『でもシーバスも居るんでしょ?』
「昨年は居ましたけど・・・でも、今日はエイを狙ってくださいね。(笑)」
『いや、HATTORIさん達はエイ狙うんでしょ。うちらはシーバス狙うから。』
「・・・だめ。(笑)」
そして16時半・・・いざ、出撃!
所々で渋滞に巻き込まれ、19時半過ぎ・・・現地に到着。
車から降りてみると・・・
暴風。
これではルアーをキャストするのは不可能である。
それどころか、身の危険を感じるくらいの風である。
という訳で・・・車内で待機。
しかし、風は止む気配がなく・・・
更に追い打ちをかけるかのように、雨まで降り出した。
「まぁ、今日の時合まで、まだ時間があるから大丈夫ですよ・・・」
と言いつつ・・・不安が脳内を駆け巡る。
風待ち状態のまま、1時間が経過。
雨は小降りになってきたが、風はまだ強く・・・
風で車がグラグラと揺れている。
2時間が経過。
風は段々弱くなっている気がする。
風よ、止んでくれ~!
そう願いながら、タックルをチェック。
2時間半が経過。
すでに、時間は22時になろうとしている。
すると・・・
ようやく、キャストが可能なくらいまで風が弱まってきた。
これくらいの風ならいける!
という訳で、すぐに準備を開始して・・・
期待と不安を胸に、ポイントへ!
果たして、今年も居るのだろうか?
7月10日に関東を直撃した台風6号の影響はどうだろうか?
しかし、現場に着いてみると・・・
濁り具合も水面状態もなかなか良い感じ。
しかも、思ったよりもゴミが少ない。
そして、1年ぶりに来たこのポイントで・・・
キャスト開始!
すると・・・
開始早々にTAKASIMAさんのツルミノーに独特のバイトが!
「居ますよ!居ます!居ます!」
その言葉で集中力も更に倍増!
スーパーやる気モード突入!
暫くすると、今度は私のサラナ125Fにエイ独特のバイトが!
すぐにルアーをピックアップして、同じコースを更にスローに通す。
そしてバイトがあった付近で少し抜くと・・・
グウゥゥゥ....
明らかにエイだ。
心臓が飛び出そうなくらいの衝動を我慢しながら・・・
焦らずに2、3秒ほど間を置いたあと・・・
ぐぅぅぅぅぅい!...とアワセた瞬間!
ジィィィィィィィィ!!!
ドラグが強烈な悲鳴をあげ、
ロッドが折れんばかりにブチ曲がり、
一気にラインが引き出されていく!
「乗った!!!本命!エイ!エイ!本命!」
22時35分、遂に本命がヒット。
強烈で重厚な引きが腕から背筋に走り抜け・・・
全身の血が逆流するような感覚に陥る!
--- あまりに長いので中略 ---
15分が経過しても、エイのパワーは全く落ちない。
相変わらず、引き波に乗って突っ走るエイ!
ラインもかなり出されているので・・・
徐々にラインテンションを強くして、エイの動きを止めにはいる。
「フック伸びるなよ~!」
祈るような気持ちで、寄せに入る。
そして、なんとか足下まで寄せた時・・・
フッ・・・
今までの強烈な重みが・・・
一瞬にして、消え去ってしまった。
「マジかぁぁあああああ!!!!」
しかし、いくら叫んでみたところで、後の祭り。
両フック共、1本づつ伸ばされていた。
それほど強引に寄せたつもりはなかったのだが・・・
フックは無残に伸びきっていた。
多分、フッキング状態の問題だろう。
あぁ・・・今年もこれで終わりか・・・
しかし・・・
まだこれで終わった訳ではなかった!
この後、更なるドラマが待ち受けていたのである。
「まだ、居る!中規模の群れが入ってる感じだから、まだ居る!」
そう自分に言い聞かせながら、再びキャスト開始。
車中では、「けっ!エイなんて狙って釣れるの?何が面白いの~?」などと言っていたOBATA氏も・・・
目の前で見せられた、「強烈で重厚!...でもちょっとだけ地味」なファイトに刺激された様子。
『俺もあの引きを味わいてぇなぁ~!』...とのこと。(笑)
そして・・・
「うちらはシーバス狙うから。」と言っていた隊長も・・・
かなり真剣にエイを狙い始めている。(笑)
暫くの間、沈黙の時が流れていった。
しかし・・・
奴等は・・・
再び捕食を開始していた。
ユラ~っ
私のルアーから伝わってきたあの独特の感触。
間違いなく・・・奴だ!
すかさず、同じコースにルアーを通す。
しかし、今度は反応が無い。
再びキャストし、早めに2、3巻きしてルアーを少し潜らせ・・・
更にスローで泳がせ始めると・・・
ぐぐうぅぅ・・・
おしっ・・・喰った!
再び心臓爆裂寸前モード。
高々2~3秒が、とてつもなく長く感じられる。
そして・・・
ぐうぅ~い・・・
ジイィィィィィィィィィ!!!
「おっしゃぁ~!乗ったぁ~!本命!」
今度こそ!ラストチャンス!
フック伸びるなよ~!
今回のエイはかなり重たく、パワフルだ!
良型か?
そしてここからは毎度お馴染の・・・
寄せては出され、寄せては出されの繰り返し。
--- あまりに長いので中略 ---
あっと言う間に15分が過ぎていった。
手首、そして関節が痛い!
--- これまた長いので中略 ---
そして、なんとか足下まで寄せることに成功。
しかし・・・
ここから次の難関が待ち受けているのである。
奴等の必殺技「海底張り付き」との攻防になるからだ。
現在、海底張り付き中。
手首を休ませた後、波を利用して剥がしにかかる。
ぐうぅぅぅい・・・
「よし!浮いた!浮いた!」
ジイィィィィィ!!!!
ドラグが唸る!
そして、突然鳴りやむ。
再び張り付かれてしまったようだ。
再び波を利用して剥がしにかかる・・・
そして、また張り付かれる・・・
そんな攻防の繰り返し。
どの位の時間が経ったであろうか・・・
遂に奴が姿を現した!
デカい!!!
姿を現したエイは、余裕で直径80cm超級の良型!
そして、一番緊張する瞬間が近づいてきた。
昨年、バラしたのも・・・ネットインした直後である。
ネットインした直後に大波に呑まれて揉みくちゃになり・・・
大波が去った後に残っていたものは・・・
リングの伸びたルアーと、空になったネットだけであった。
そこで、今回は違う作戦を考えていた。
エイをネットインした後、ロングギャフでネットの先端側の枠を引っ掛け・・・
ネットの柄と、先端側の枠のギャフを同時に持ち上げて波を避け・・・
そして、ターゲットを捕獲する・・・というものである。
運命の瞬間。
TAKASHIMAさんがタモ網を持ち、隊長がライトでエイの位置を照らし・・・
そして、OBATAさんがギャフを持ってタモ網の枠を引っ掛ける係に。
準備が整ったところで、再びエイを浮かせる。
しかし・・・なかなかネットに入らない。
「エイがデカすぎて網に入んないよ・・・」
『波を利用してヒレを折り曲げる感じにすれば、何とか入るでしょ。』
そして、三度目の挑戦・・・
『よっしゃ~!!!』
「入ったあぁぁぁぁ!!!」
4人のお馬鹿な大人の絶叫が、誰も居ない夜中の海に木霊する。
あれ?・・・なんで俯いてるの?
3年目にしてようやく釣りあげたから、感慨に耽っているの?
喜びを噛み締めているの?
それとも・・・
まさか・・・
あの後に・・・
何かが起こったの?
そう・・・
あの後・・・
ネットの枠にギャフを引っ掛ける前に例の波がきてしまい・・・
その波によって、ネットが回転してしまい・・・
エイは・・・
エイは・・・
大海原に・・・
戻っていったのでありました。
悔しい。
こうして23時07分から23時32分までの25分間の攻防は・・・
静かに幕を下ろしたのであった。
暫く休憩した後、朦朧とした意識の中でキャストをしてはみたものの・・・
我々の予想通り、時合は既に終わってしまっていた。
そして、24時・・・納竿、撤収。
2002年7月13日
第三回 房総重量級Aツアー
結果は・・・敗北。
はあ?・・・結局、今年もダメだったの?
これだけ長々と引っ張っておいて・・・
結果は・・・「敗北」なの?
じゃぁ、今までの長~い前置きは・・・
一体、何だったの?
そ、それは・・・
--- 帰りの車中でのOBATAさんとの会話 ---
『HATTORIさん、今日の出来事をどんなに詳しく書いても、
どんなに長々とREPOATに書いても、絶対にこの感覚は伝わらないね。』
「そうですね。」
という訳で、無意味なくらい長々と書いてみました。
失礼。
はたから見るとお馬鹿な真剣勝負。
来年こそ悲願達成なるのか?